2007/06/13

WWDC07 雑感と Safari for Windows の必要性

Safari for Windows ダウンロード可! Mac OS 10.4 ユーザも!

WWDC 2007 での Steve Jobs の基調講演が終わりました。

今回の “One more thing...” は、Safari for Windows でした。

もちろん驚きましたが、Intel への移行が発表されたときのように興奮するというほどではありませんでした。

既にダウンロード可能です。インストールできるのは Safari 3 Public Beta で、Windows ユーザだけでなく、Tiger、Mac OS X v.10.4.9 を使っている人も入れることができます。

Safari for Windows の意味

Safari for Windows がリリースされた意味を考えてみました。Microsoft は Internet Explorer で市場を席巻しようとしましたが、Safari for Windows が出された意図はそれとは全く違うのは明らかです。

これからの世界は、ウェブアプリケーションの重要性が増していくであろうことは、Google の興隆を見るまでもありません。これまで Windows 版もなく、シェアの少なかった Safari は、ウェブアプリケーションの対応でも後回しにされることがありましたが、Safari for Windows が出たことによって、そうした状況が改善されていくかもしれません。

正直、Firefox にも移行しない Windows ユーザが Safari for Windows を使うようになるのかはわかりませんが、iTunes for Windows を通じて Apple に興味を持っている人が使ってくれたらよいな、とは思います。

しかし、Safari for Windows の意味はそれだけなのか、というと、いまいちピンときません。

Safari for Windows と iPhone

少し考えてみたのが Safari for Windows と iPhone の関係です。

今回の WWDC07 で、iPhone には SDK こそ用意されないものの、ウェブアプリケーションとして、アプリケーションを追加できるようになることが発表されました。

iPhone は内部に Mac OS X のサブセットを採用し、ウェブウラウザとして Safari が入っています。サードパーティから iPhone 用のウェブアプリケーションを出してもらうということは、Safari に対応したウェブアプリケーションが必要になるということです。開発には当然 Safari が必要になってきます。

そこで、Safari for Windows です。

Safari for Windows によって、より多くの iPhone 用のウェブアプリケーションを開発してもらうというわけです。

と、考えてみましたが、まだ考えが足りない感じがします。Safari for Windows の真の意味がわかるときが、今後やってくるのでしょうか。

Safari for Windows で日本語表示する方法(追記)

リリースされたばかりのβ版の Safari for Windows は、そのままでは日本語を表示できないようですね。WebKitPreferences.plist のフォント指定を書き直す必要があるようです。詳しくは、以下の記事を参照して下さい。

WWDC 2007 で紹介された Leopard 10の機能

一通り紹介された機能を眺めて感じたのは、10の機能を紹介しているが、それぞれが独立してあるのではなく、相互に密接に関連している部分が多いな、ということです。特に Quick Look と Core Animation はいろいろなところに出てきていると思いました。

  1. New Desktop(新しいデスクトップ)

    半透明になったメニューバーや Dock、ウインドウなどの外観の変更もありましたが、気になるのは Dock に複数のアイテムを1つにまとめてスタックして登録できるようになったことです (Stacks)。確か、ずっと以前に Pnather か Tiger の新機能として Finder でアイコンのスタック表示ができるようになるという噂があったと思うんですが、検索しても見つけ出せませんでした。(追記:わかりました。Piles という機能でした1。)似たような機能が Dock の機能として今頃実装されということなのでしょうか。フォルダを Dock に登録して使っている人はいると思いますが、それよりずっとレスポンスが良さそうな感じでしたね。

    Apple - Mac OS X Leopard - Features - Desktop

  2. New Finder(新しい Finder)

    Finder が iTunes 化したというのか、Cover Flow を備え、左のカラムもデバイス、共有等の分け方になり、外観も iTunes や Apple Mail (Mail.app) のようになっています。Quick Look がバリバリ活用されていて、メディアブラウザの性格が強くなっていますね。

    .Mac を介して、遠くの Mac とファイルを共有できる機能 (Back to My Mac) は気になります。P2P VPN ソフトの Hamachi が通信を開始するときには一時的に仲介サーバを必要とするそうですが2、.Mac もそのような感じで仲介サーバとして使われてるってことなのでしょうか。

    技術的なことがわかって書いているわけではないのですが、Back to My Mac には、Wide-Area Bonjour が使われているのではないかという気もします。(通常の Bonjour は、LAN の内側に留まり、サブネットを越えられません。そういえば、iTunes 4.0 に実装されすぐに削除された LAN 越しの音楽ファイル共有3はどうやって実現していたのでしょう?)

    Apple - Mac OS X Leopard - Features - Finder

  3. Quick Look

    ただのプレビューではありません。PDF はページをめくることもできるし、動画は再生したまま Cover Flow でスクロールさせることができます。Cover Flow は Core Animation を使っているのでしょうねぇ。Excel の書類がプレビューできるようになっており、噂されている Apple 謹製表計算ソフトとの関係が気になります。 Spotlight がプラグイン式で検索対象を増やせるように、プラグインを書けばプレビューできる書類を追加できるようです。

    Apple - Mac OS X Leopard - Features - Quick Look

  4. 64-bit

    64ビット化の恩恵を目に見えるように示すのはなかなか難しいと思うのですが、32ビットの同じアプリケーションと並べて、超高解像度を処理させて、ほとんどディスクアクセスを発生させず、高速に処理するようすを見せて、64ビットの力をアピールしました。

  5. Core Animation

    アルバムのカバージャケットが流れて行く iPod の CM をもっと高度にした感じで、たくさんあるピースの1つ1つが動画を再生しながら動いているというデモ。すごいんですけど、非力なマシンではどうなるんだろう?

  6. Boot Camp

    Boot Camp は割とあっさり。発表内容は今までのようにいちいち Windows 用ドライバを CD に焼く必要がなくなったことくらいで、後は Parallels Desktop と VMware の紹介をしておしまい。

    Apple - Mac OS X Leopard - Features - Boot Camp

  7. Spaces

    Spaces も特に目新しいところはなかったような。縦横だけじゃなくて、斜めにもデスクトップを移動できるらしいです。

    Apple - Mac OS X Leopard - Features - Spaces

  8. Dashboard

    Movies という新しいウィジェットと既出の Web Clip の紹介。Movies はトレイラーを見れるだけでなく、チケットも買えるらしいのですが、日本には関係ないでしょうね。Web Clip は切り出し位置を DOM を理解して自動的に検出しているようなのが興味深かったです。

    Apple - Mac OS X Leopard - Features - Dashboard

  9. iChat

    これも基本的に既に紹介されている機能なのであまり目新しさを感じませんでしたが、backdrop (背景) を簡単に置き換えられたり、 Photo Booth の効果が適用できたりするのが、スムーズに行われているのは感心しました。やはり非力なマシンでどうなのか気になるところ。

    Apple - Mac OS X Leopard - Features - iChat

  10. Time Machine

    なくなった書類も過去にさかのぼって、Spotlight を併用し簡単に復元できる様子をデモ。Time Machine も概要は過去に発表済みなので、真新しさはこれもそんなに感じないですよね。Airport (AirMac) ベースステーションに取り付けた共有ディスクにもバックアップできるみたいですね。

    Apple - Mac OS X Leopard - Features - Time Machine

ITmedia の WWDC 記事4にもありましたが、確かに目を引く派手さそんなにないけど、堅実な内容という感じですね。

スティーブ・ジョブスの基調講演の模様は、Apple のサイトで QuickTime にて配信中です。うまく再生できないときは、時間を置いてから試してみて下さい。

関連記事

Windows 版 Safari は iPhone 用アプリのプラットフォームの可能性(追記)

ITmedia に上で書いたことと似たような見解の記事が載っていました。

「SafariはIEやFirefoxの地位を狙ったものではなく、Macエミュレータなのだ」と同氏は付け加える。「Safari対応のWindowsアプリやiPhoneアプリを容易にテストできるようにすることにより、これらのアプリの開発者を促進するのが狙いだ。これで開発者は、WebアプリがSafari上できちんと動作するか確認するのに、Macを借りたり盗んだりしなくても済む」。

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