2006/08/30
Google CEO、Eric Schmidt の Apple 取締役入りで何が変わる?
Google の CEO エリック・シュミットが Apple の取締役に加わりましたね。
アップル、グーグルCEOのシュミット氏を取締役に選出 - CNET Japan
このことで、コンシューマ的には、iChat と Google Talk が直にチャットできるようにならないかとか、iCal と 先日 Safari 対応を果たした Google Calendar の連携が進まないか、等の期待する人は少なくないのではないかと思います。しかし、私はそのようなことは Eric Schmidt が Apple に加わったことの本質には関わりないのではないかと思います。その程度の連携ならば、Apple の取締役になる必要もないでしょう。
梅田望夫氏がエリック・シュミットのインタビューについて取り上げた記事「GoogleのCEO、エリック・シュミットが考えるIT産業の未来」の中にこんなことが書かれています。
情報自身が爆発的に増える(expansion)、ということだけでなく、特定ニッチ市場で活発に行なわれている情報アクセスが、一般市場にまで膨張(expansion)していくことがないと、IT産業の成長はない。
このインタビューの邦訳「Google CEO、その強さの秘密を語る」では、以下のあたりになるでしょうか。
IT業界の成長を促す唯一の方法は「情報へのアクセスを拡張させること」というものだ。情報へのアクセスを、特化した市場からより一般的な市場へと拡張させることだ。
この意見はかなり説得力があると思う。これまでのテクノロジの波を経験してきたのなら分かると思うけれど、その特筆すべき特徴に、「ある分野に特化したものは必ず一般化していく」ということがある。サン・マイクロシステムズのワークステーションはきわめて特別な分野のためにデザインされたマシンだったが、やがて一般的に利用されるようになった。Webにしても、もともとは一般向けに情報を提供するためのものではなかった、などなど。そうした可能性を持つ現在の市場を考えてみてほしい。例えばWi-Fiのローミングがそうだ。Wi-Fiの無線LANでローミングサービスが実現すると、情報へのアクセスの方法が根本から変わってしまうだろう。これは成長への大きな起爆剤となる。
Google がここで触れられている Wi-Fi サービスに力を入れていることは知られています。ごく最近も Google 本社のお膝元で、無料 Wi-Fi ネットワークの提供を始めました。
ITmedia News:Google、ホームタウンでの無料Wi-Fiサービスを開始
エリック・シュミットのアップルへの参加によって具体的に何が変わるのかというところまで予見する情報も知見も私は持ち合わせていませんが、少なくとも小手先のアプリケーションの連携だけではないと期待できますね。
追記(もしかしたら Mac にコンテンツの未来を見たのか?)
上記インタビューでは、「ムーアの法則」によって価格低下が続いていく
IT 産業には、新しいコンテンツが必要であることを指摘して、やがてハリウッドと対立するのではないかということについて語っています。
もしハリウッドが勝利してわれわれのIT業界が完敗すると、この手の新しいコンテンツやメディアにアクセスできなくなってしまう。そうなると、IT業界には成長はなくなるわけだ。もしその逆にわれわれが勝利を収めてハリウッドが負ければ、新しいメディアが生み出されることになる。利害関係のバランスの問題だね。メディアビジネスの方法論と、IT業界が新しいコンテンツを求めている現状−−両者の間には、深い断絶がある。
ところが、Apple の CEO スティーブ・ジョブズは先達て Disneyの取締役に就任し、コンテンツにアクセスできるようになってきています。
それとふと思い出したのが、Life is beautiful のコメントに書かれていたこの記述。
コンテンツ加工ツールとしては、Mac はすでにかなりな所まで来ていると思います。息子達が、iMovie は GarageBand を使って作った映像・音楽作品を見て、本当に関心してしまいました。
そういえば、Intel Mac が発表された今年1月の MacWorld の真の主役は、Intel Mac ではなく、着実に進化している iLife なのではないかと思ったことがありました。以下の日経BPの記事「豊かな創造性とリッチなデジタルライフ演出するApple」でもその点が強調されています。
しかし、それ以上に大きいのは上述のリッチなソフトウエア群だ。もし、これらのソフトが無かったなら、これほどデザイン的に洗練された部品をあちこちからかき集めてくる労力とコストは膨大なものになる。自分の著作権を主張できる音楽トラックが自在に創り出せるメリットは計り知れない。
もしかして Eric Schmidt はこうしたところに Mac の将来を見たのでしょうか。
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