2007/09/30
「岳 みんなの山」第5巻発売 〜 石塚真一さんサイン会行ってきました
山岳レスキューを描いたマンガ「岳」の第5集が 9月28日に発売になりましたが、翌 9月29日に上野で著者の石塚真一さんのサイン会がありました。
サインが目的ではなかったのですが、石塚真一さんと会ってみたかったので行ってきました。石塚さんはサインに忙しく手を動かしながらも、1人1人と結構話してくれていて、サインもイラスト入りで、丁寧に接してくれていました。
集まった人たちも(マンガというメディアの性質上か若い人の方が多かったですが)老若男女、幅広い層で、多くの人に愛されている漫画なんだなぁと感じました。
サインの時に石塚さんとちょっと話ができたのですが、遭難死やレスキューの直接の経験はないそうなんです。それであれだけ真に迫ったものが書けるのは素晴らしいです。
「岳」は何度か紹介していますが、山に登る人が以外にもお勧めのよい作品です。雑誌「ダ・ヴィンチ」でも大絶賛されていましたし、Number の 679号でも、平塚晶人氏によって「スポーツを読む」というコラムでかなり好意的に紹介されていました。そのコラムの冒頭部だけ引用しておきます。
ひげ面の超人的な強力(ごうりき)も、イケメンのクライマーも、山岳マンガにありがちな設定はいっさいない。代わりに全編を支配しているのは、哀しみを伴った、凛とした山の空気だ。
平塚晶人氏のこの書評については、クライミング・ブック・ニュースさんでも取り上げられていました。
第○話の何、という具体的な部分にはほとんど触れず、かつ『岳』の魅力を十二分に伝えている文章だと思いました。さすが。
平塚晶人氏ご本人がその書評について言及したブログ記事もあります。
世間ではすでに評価を獲得している作品で、
知人からも「いいよー」と聞かされていたのですが、
読んだのは初めてです。で。
いいですよー、ほんと。
山岳救助員の話ですが、ほろりときます。
妻は泣けてしかたがないと言っています。
平塚晶人氏のブログの以下の下りは、私もまさにそう感じた部分でもあります。(下記引用中の強調部は私による)
実は先日、私の所属している山岳会でも遭難騒ぎがあって、
後日、当人に、けっこうきつい言葉をかけちゃったんですよね。
「岳」を読んだとき、瞬間的に、ああー、そうだよなーと思いました。
何も言わなくたって、
もう全部わかっているんだよなーって。
石塚さんがどこでこうした感覚を身につけたのか、知りたいところでもあります。
山岳遭難に限らず、何かが起こった時にその尻馬に乗って何かを言うのは簡単なのですが、その発言をすることの本当の意味を考えられるようにしたいと思います。
石塚真一さんのもう1つの作品「東京チェックイン」
ビックコミック・オリジナルの増刊号で読んだと思うのですが、石塚真一さんは「東京チェックイン」という漫画も描いています。バックパッカーの主人公が、親の経営する浅草の老舗ホテルに戻ってきてからの、外国の宿泊客との交流を描いた作品です。
「東京チェックイン」は数話掲載されただけで、その後が続いていないのですが、私もあちこち海外を歩いてきたこともあり「東京チェックイン」の方も続きを読みたいです。
「東京チェックイン」に触れたブログは少ないですがいくつかあります。以下のものが比較的よくまとまっていたので紹介しておきます。
読売新聞による「岳」の書評(追記)
mixi に著者の石塚真一さんのコミュニティができていて、そこで読売新聞による「岳」の書評があるのを知りました。
その書評の主題ではないのですが、以下の部分に少し感ずるところがありました。
サッカーや野球は、プレーヤーでなくとも観戦によって感動や臨場感を経験できる。いっぽう、山登りに関して同種の疑似体験はできない。だからこそ、なぜ登るのかという疑問に関して山登りのプレーヤーには説明責任があるのではないだろうか。それを果たせば、山岳遭難時の救援活動にもより大きな社会の理解と支援を得ることができるからである。
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