2007/08/25

Second Life ブームが来てると思ってる本屋

都内の某大型書店に Second Life コーナーが!

都内の某大型書店でこんな棚を見ました。

セカンドライフ本が並ぶ書店棚

セカンドライフ本が大量に平積みになってます。セカンドライフに関する本ってこんなに出てるんですね。

この棚を作った書店員さんは、セカンドライフが来てる、もしくは来ると思ったんでしょうね。

ちょっと文脈は違うのですが、昔は Java と JavaScript が一緒くたに並べられてる書店も少なくなかったことを思い出しました。専門的知識を持った書店員がいなかったのか、わかった上で確信犯的にこういう棚作りをしているのか、恐らく前者のような気が…。以下のような記事ばかり目にする私には恐くてできない大胆な棚作りだと思ってしまいました。

セカンドライフ関連記事

もちろん Second Life が来ると言っている人たちもいるんですが。

Second Life の考察

いろいろ読んだセカンドライフ関連記事の中で、印象に残ったのはこのあたり。

渡辺千賀さんの On Off and Beyond から2つばかり言葉を引いてきていました。原文から大西さんの引用部分より少し多めに引用しておきます。

セカンドライフとかけてゴルフと解く。その心は・・・

・・・50時間くらいかけないと楽しめるようにならない。

ゴルフを数時間やっただけの人が

「ゴルフなんて全然だめだ」

と言ったら、ゴルファーは怒ります。たった数時間でわかった気になるな、と。

「Second Lifeは、割と年季の入った世界のオタクのコミュニティ」

(中略)

じゃ、みんな何してるのか?無料で入れるので、「とりあえず様子見に来ました」という人もフラフラといることはいるのだが、多くが、粛々と3Dオブジェクトを作っているんです。

セカンドライフの客観的な分析としていちばんよいと思ったのは、濱野智史氏の一連の記事です。ニコニコ動画との比較も交えながら、セカンドライフを考察しています。

例えば「セカンドライフが「閑散としている」のはなぜか? 3」では、閑散として見える理由と、それが即、セカンドライフが使えないと結論づけるのは早計だということが述べられています。

セカンドライフは「真性同期型アーキテクチャ」である。そうだとすると、問題は、なぜそれが「閑散としている」ように見えてしまう(見えやすくなってしまう)のかということです。その原因は、セカンドライフ上では、《一人のユーザーが必ず単一の「場所」にしか存在することができない》という——ごくごく当たり前の——事実に由来しています。

セカンドライフは「広さ」という観点で見れば確かに大規模な仮想空間ではありますが、「人口密度」という点でいえば貧弱であり、それゆえ必然的に「閑散としている」光景を生み出してしまう、ということです。これは逆に言えば、セカンドライフ上で人影が見当たらないからといって、即座にセカンドライフの利用実態がお粗末であると指摘するのは、いささか早計かもしれないということでもあります。

ニコニコ動画が「活況を呈している」のはなぜか?」では、セカンドライフが真に同期型であるが故に閑散としてしまうのに対し、ニコニコ動画は、本当は非同期でありながら擬似的な同期型体験を生み出しているのが活況の理由だという趣旨のことを述べられています。

ニコニコ動画の特徴は、実際には同じ時間を共有していない(=非同期的な)ユーザー同士が、あたかも同じ現在を共有して(=同期的な)コミュニケーションを交わしている《かのような》錯覚を得ることができる点にありました(第3回)。

もしニコニコ動画が、決められた時間にしかコメントを入れたり見ることができない「真性同期型アーキテクチャ」だったとしたら、「昨日盛り上がっていた動画が、今日は一切コメントがついていない」といった「閑散化問題」が不可避に生じてしまう。つまり、「真性同期型アーキテクチャ」が《後の祭り》を不可避に生み出してしまうシステムだとすれば、「擬似同期型アーキテクチャ」は、いうなれば《いつでも祭り中》の状態を作り出すことで、「閑散化問題」を回避するシステムである

個人的には…ハビタットを思い出す

どうしても FM TOWNS のハビタットを思い出してしまう私には(古いですね…)、セカンドライフになかなか期待感が持てないのですが、切って捨てるのも早いのかもしれません。ちなみに同じようにハビタットを連想して書かれている記事があります。

まぁ、セカンドライフが流行ったとしても、私にはそんな「第2の人生」までに時間を費やす気は起きないと思うのですが。それは、Sony の PLAYSTATION 3 がいまいち売れず、任天堂の Wii がヒットしている現状を考えると、私以外の人たちでも、「第2の人生」に時間を費やす人は少数派だという気はします。

それと今よくメディアに取り上げられている理由として、ブログや mixi などの意味が理解できなかった企業のおじさんたちに、セカンドライフは理解しやすかった、という分析はあながち外れてないように思ってます。

Web2.0の代表的な存在としてはSNSとブログがあります。SNSに関しては2003年にアメリカで、そして日本では2004年3月から開始されましたが、当初は企業も新聞・雑誌・テレビ・ラジオという従来型メディアもこのSNSに対しては無反応、そして懐疑的でした。そもそも知らないという人達が多く、何らかのきっかけで知ったとしても「出会い系サービスじゃないの?」という一言で片付けられてしまい、むしろ怪しいサービスとして聞く耳も持たないという状況でした。

企業、従来型メディア、広告代理店は、SNS、ブログをマーケティングに利用するのに遅れただけではなく、ネット活用が下手な人達という、21世紀に最ももらいたくないダサいレッテルを貼られてしまいました。次はもう絶対に失敗しない、そして、われはネット最前線だとアピールしたいわけです。

セカンドライフへの参入費用がそんなに高くないことから、話題作りになるだけでもいい、という考え方もあるようです。

Second Lifeに1つのSIMを作成する際の予算は1000万円前後といい、「Flashばりばりの本格的なプロモーションサイト10ページ分程度」。どうせ効果が分からないなら、プロモーションサイトという旧来の手段より、新しいことにチャレンジしたいというのが宣伝担当者の人情だ。

「実際にリーチできた人数は分からなくても、話題になって経済紙などに取り上げられれば費用対効果も十分。新しいことができた、広告を出してよかった、という納得感につながる」

なるほど。

Second Life はいつの間にか終わってた(2007年12月29日追記)

さすがにそろそろ公然と「セカンドライフは失敗したね」と言っても世間様に受け入れていただけそうな空気になってきたので、思っていたことをぐだぐだ書いてみたいと思います。カウボーイ大会の興奮が凄すぎてまだ眠れないので

半年くらい前、国内でのセカンドライフは完全にバブル状態だったのですが、誰もがこれがバブルだと認識しつつ敢えて踊らされる側に回った、というのがとても印象的でした。知人のセカンドライフビジネス関係者で本気でセカンドライフをやっていこうとしているのは1割もいませんでしたし、みんな心のどこかで「まあこんなの今だけだし」と思っていた点は否めません。

セカンドライフはCTOが解雇されるなど、完璧にグダグダなモードに入っています。それにしても、あまりにも早い幕引きだったなと思います。Web2.0はまだ成長途上にあるともいえますが、その先にあると期待されていたメタヴァース(セカンドライフ的なシステムすべて)があっさりと失速してしまったのは印象的です。

この港区赤坂四畳半社長の記事に対し、今までも Second Life 擁護のブログを書いてきた方が反論されている1のですが、どちらが説得力があるかは少し読めば分かると思います。

ポスト @ 1:19:14 , 修正 @ 2007/12/29 14:34:45 | , | 「このエントリーを含むはてなブックマーク」ボタン この記事「Second Life ブームが来てると思ってる本屋」を含むはてなブックマークの数

2 Comments

Re: Second Life ブームが来てると思ってる本屋

Yahooニュース→ITmediaのTBと飛んできました。

写真はひょっとして、神保町のS堂でしょうか。私も先日見かけたもので。

セカンドライフの不評をネットで見聞きしていたので、随分派手に並べてるなあと思ったものです。

From : コーシン @ 2007-09-11 01:46:11 編集

Re: Second Life ブームが来てると思ってる本屋

神保町のS堂でしょうか。

私が見たのは神保町ではなくて、書店も Y堂です。

POLAR BEAR BLOG

のコメント欄によると紀伊国屋でも山積みだそうですから、そういう書店は多そうですね。

From : Hiro @ 2007-09-11 21:19:06 編集

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