2006/12/12
任天堂 Wii の設計は Apple 的?
タイトルは、後藤弘茂のWeekly海外ニュースの岩田社長インタビューを読んでて、ふと思ったことです。
【岩田氏】 そうです。ただ、最初に私がDVDケースを持ち出して、この大きさに入れましょう(Wiiの筺体は「DVDケース2から3つ程度」と2005年のE3時にアナウンスした)と言った時のハードウェアチームの凍った顔は忘れられないですね(笑)。
サイズはね、最初からこれにしましょうと。家の中で邪魔者にされないためには、サイズの目標をはっきり決めておいたほうがいいと。私や竹田(竹田玄洋氏、任天堂専務)や宮本(宮本茂氏、任天堂専務)の会議で、そういう話があったんです。
【Q】 てっきりチップ設計からサーマル(Thermal Design Power:熱設計消費電力)が決まり、その結果、筐体のサイズが決まったかと思っていました。
【岩田氏】 サーマルが決まったらこれくらいのサイズになりますという箱は当然出てくるんです。でもその箱を見てもピンと来なかった。そこで、このサイズにしましょうとこっちから提案した。
そのときは、私もあえて素人のふりをして(笑)、こうであってほしいとね。当然のことですが、サーマルって本当に設計が詰まって最終段階にならないと読み切れないんですね。だから作ってみないとわからないのに、この箱に入れろと言われて、ハード屋さんは大変だったと思います。
Apple のデザインチームは、スティーブ・ジョブズやジョナサン・アイブの、こういう要求に応え続けているのではないでしょうか。ただの想像ですけど。
かわいいデザインの初代 iMac や首振りのiMac G4 は特に、先にハードウェアから考えていたら、なかなか発想は出てこないのでしょうね。
企業が成功して行くにつれ、その成功自体が足枷となってしまうということを指摘した「イノベーションのジレンマ」という言葉がありますが、一連の岩田社長のインタビューを読んでいると、任天堂はそのジレンマから脱する方向で Wii をつくったんだなというのが伝わってきます。(「イノベーションのジレンマ」については、Life is beautiful の下記の記事がわかりやすいでしょう。)
例えば、岩田社長はインタビューの中で以下のようなことを言っています。
その一方で、今までやって来た、“より豪華で複雑に”路線の結果、ゲームソフト1本あたりの開発費は鰻登りになり、開発期間も長くなってしまいました。私はファミコン時代に、チーム2人で2カ月でゲームを完成させました。'83年頃はそういう体験を、大学出たての若造がやらせてもらえていた。ところが、今は50人のチームの1人として3年奉仕しないと、1本のゲームができない。しかも、ゲームの全体像はちっともわからない世界に変わってしまった。
この先も同じ方向へただ進んで行くのでは非常に危険だなと感じました。明らかにゲーム産業には、違う方向を目指す役割をするプレイヤーが必要だなと。豪華で複雑から離れた方向へ向かう必要があると。
Wii の前にニンテンドーDS があったとはいえ、こうしたことは、まさに言うは易し、行うは難しなんでしょう。
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