2007/03/13

PASMO、Suica の各カードの違いをまとめてみる

PASMO、Suica はどちらか1枚でよい

基本中の基本ですが、知り合いとかと話してみると、PASMO(パスモ)と Suica(スイカ)はどちらか1枚持っていればいいということを、意外に知らないようです(例外はありますが)。

Sony の開発した FeliCa という IC カードを使っていて、FeliCa を採用しているものには Edy や eLIO 等、互換性のないものもあるのですが、PASMO と Suica に関しては相互利用可能となっており、基本的には同一のものとみなして差し障りありません(定期券での運用時などに違いあり)。

(関東においては)基本的に使える交通機関やお店は同じになります。付随するポイントサービスなどが異なってくるだけです。ただし、現在ではあまり使われていないと思いますが Suica でも旧型の買い物に使えないタイプのもの(Suica マークSuicaマークの付いていないもの)は、私鉄・バスでの利用ができません(訂正:私鉄の利用は可能でした。みどりの窓口にて確認)。

なお、JR西日本の ICOCA も、現在のところ、JR東日本の交通機関での相互利用は可能ですが、PASMO 加盟の私鉄・バス会社の交通機関は利用できず、その他の通常の買い物もできない制限があります。その反対に、PASMO を ICOCA 対応交通機関で使うこと等も、現状ではできません。

追記:PASMO、Suica、ICOCA、PiTaPa の相関図を別記事にまとめました。

1つ気をつけたいのは、FeliCa を使ったカードは技術的には同じものなので、重ねて使うとエラーになるということです。今までも Suica を2枚以上同じ定期入れに入れているとエラーになっていましたが、Suica と PASMO でもエラーになります。

ちなみに Suica 2枚を JR の改札にかざしてしまったことがあるのですが、エラーとなって扉が閉じました。お金はどちらからも引かれてませんでした(そうじゃないと困りますが)。

Q SuicaとPASMOを同じ定期券入れに入れて改札機を通過できますか。

A これまでと同様、複数枚のICカード(SuicaやPASMOなど)を自動改札機にかざした場合、改札機では処理できないため、改札機のドアを閉めさせていただくことになります。

Felicaの技術を採用しているカードやその他ICチップの入ったカードを2枚以上重ねると、枚数超過となり、エラーになる。その為、ICカード(Suica/ICOCA/eLIO/PiTaPa/Sony社員カード)等重ねては利用出来ないので要注意である。また、その他の非接触ICカードでも同様に重ねるとエラーになる可能性がある。調べた限りでは、筑波大学の学生証、ICカードを採用している社員証などがある。尚、Edy及びせたまる回数券に関しては、重ねてもエラーにはならなかったが、Edy読み取り機(対応店舗にて)でSuica若しくはICOCAを重ねると、エラーになった。

というわけで、PASMO と Suica は基本的に1枚あればよいということになります。それでは、いろいろ種類がある中で、どんなものを選んでいったらよいのか考えてみます。(そもそも自分がわからなかったので、まとめてみました。)

  1. 無記名PASMO・Suicaカード(無記名)

    パスネットカード、イオカード、バス共通カードの代替

  2. 記名PASMO・My Suica(+定期券/小児用)

    再発行および小児用が可能に!

  3. PASMO + クレジットカード分離型(オートチャージ対応)

  4. Suica + クレジットカード一体型(オートチャージ対応)
  5. モバイルSuica
Suica と PASMO を一緒に入れられる定期券入れ(追記)

2枚の FeliCa カードを入れてもエラーを起こさない定期入れ「アイクレバー (iCLEVER)」というのがあるのを知りました。スキミングを防止するために開発された電磁波防護技術を使っているようです。どうしても Suica と PASMO が両方必要な人は、このようなパスケースを使うといいですね。

玉川製作所・ICカードプロテクターというのもありますね。

さらに追記:ITmedia にアイクレバーの紹介記事が出ました。

無記名PASMO・Suicaカード(無記名)

自動券売機で簡単に買えるのが、無記名 PASMO/Suicaカード(無記名)[旧 Suicaイオカード]です。それぞれ、従来のパスネットカード(SFカード)・バス共通カード、イオカードの代替に当たります。

無記名、つまりカードに個人情報は記されていないため、再発行はできません。

返金手数料に注意

PASMO・Suica のどちらもカード発行時にデポジットとして 500円かかります。カードを返却すれば、デポジットは戻ってきますが、カード内にチャージされた残金の返金には 210円手数料がかかります。チャージ金額を 0円まで使い切って返却すれば損しませんが、チャージ金額 210円以下の場合は、そのお金は戻ってきませんし、それ異常の場合でも 210円引かれた金額しか戻ってこないわけで、注意が必要です。

バス利用での割引

割引の全くないイオカード、パスネット・カードと違い、バス運賃のプリペイドカードであるバス共通カードは「プレミアム」として購入金額以上の利用ができるようになっています。以下がバス共通カードのプレミアム分です。

販売額 利用額
1000円 1100円
3000円 3360円
5000円 5850円

PASMO・Suica を使った場合にこの特典はどうなってしまうのでしょうか。結論を言うと、バスポイントという形でポイントが貯まり、1000ポイントごとに「特典バスチケット」として還元はされます。還元率は基本的にはバス共通カードと同じなのですが、不利になる点があります。

  • バスポイントは月単位での蓄積になり、翌月になると 0ポイントになってしまう
  • 特典バスチケットの付与はバスポイント 1000点ごとなので、端数が切り捨てられてしまう

こうしてみると、バス共通カードがすぐ廃止されるわけではないし、PASMO を使うメリットはあまりなさそうに見えますが、事業者によっては特典があるようです。

例えば都バスでは、90分以内に次のバスに乗り継ぐと、次のバスの運賃が大人100円/小児50円割引になります。

東京23区内

初めのバスの乗車時から90分以内に次のバスに乗り継ぐと、2乗車目のバスの運賃が大人100円/小児50円割引になります。

多摩地域

初めのバスの降車時から次のバスの降車時までが90分以内の場合、2乗車目のバスの運賃が大人100円/小児50円割引になります。

上記を含め、バスでの PASMO の利用については、都バスのページがよくまとまっているので、参照してみて下さい。

記名PASMO・My Suica(+定期券/小児用)

記名PASMO や My Suica(記名式)には、名前・性別・生年月日(・電話番号[任意])がカードに登録されます。個人情報を登録して何の利点があるのでしょう。

  • 再発行可能
  • 小児運賃のカードが作れる

というメリットがあります。

従来、Suica定期券でない Suicaイオカードは再発行できなかったのですが、PASMO の導入に合わせて My Suica という記名式の Suica ができたので、定期券でない Suica も再発行できるようになります。

なお、無記名PASMO に個人情報を登録して、記名PASMO にすることはできますが、その逆はできません。Suica も同様です。無記名の Suicaカードを My Suica(記名式)にはできても、My Suica を無記名の Suica にはできません。

再発行には 1000円かかる

PASMO・Suica を紛失して再発行するには、手数料 500円+デポジット 500円で、合計 1000円かかります。デポジット 500円分は戻ってくるのですが、紛失時に先のカードのデポジットを失っているため、実質的には 1000円費用負担が生じます。

なお、従来の Suica の再発行手数料は1000円だったのですが、PASMO 導入に合わせて 500円に下がります

Suica定期券を紛失した際の再発行手数料が、今までの1,000円から500円になります。

※ Suicaの再発行の際は、再発行手数料500円と預り金(デポジット)500円が必要となります。

再発行・払戻しについては、Suica と PASMO は別々です。Suica の場合はみどりの窓口、PASMO は PASMO 事業者の取り扱い窓口に行く必要があります。

小児用記名PASMO・こども用Suica

以前は小児用の Suicaイオカードはなかったのですが、記名式の Suica 導入に伴い小児用のSuicaカードも作れるようになりました。もちろん 記名PASMO も同様です。

記名式には生年月日情報が登録されるために、可能にしたものと思われます。(ただ、よく考えてみると、無記名だからといってできない理由もないような気がします。切符は無記名なのですから。)

PASMO定期券・Suica定期券

記名PASMO・My Suica(記名式)に定期券情報を付け加えることによって、PASMO定期券・Suica定期券として使えるようになります。逆に、定期券の期限が切れた場合(定期券情報のない場合)は、普通の記名PASMO・My Suica となります。

記名PASMO・My Suicaとも、現在の磁気連絡定期券の発売範囲と同じ範囲で、互いにJRと他の鉄道会社の連絡定期券を作れるそうです。しかし、Suica で JR を含まない私鉄だけの定期券は作れず、その反対に PASMO で JR 分だけの定期券を作ることはできません。Suica と PASMO は同等と上で説明しましたが、この点については同等とは言えないので注意が必要ですね。JR東日本のFAQにもそうした例について回答があります。

Q 東京メトロ線の定期をSuicaに発売することが可能ですか。

A JRと私鉄の連絡定期券を発売することは可能ですが、東京メトロなどの私鉄だけの定期券をSuicaに発売する事はできません。PASMO定期券をご利用ください。

以上は Suica に私鉄のみの定期は付けられないという説明。

都営地下鉄による PASMOナビにも説明がありました。

Q:今持っているSuicaに都営線の定期券を付けることはできますか?

A:都営線単独の定期券はSuicaに付けることはできません。(SuicaにPASMO取扱事業者単独の定期券機能は付けることはできません)PASMO定期券をお求めください。

逆のケース、PASMO を JR のみの定期券にすることの可否については、私鉄の定期売り場で尋ねてできないということを確認しました。首都圏ICカード相互利用のご案内(概要版)」[PDF/957KB]にも6ページ目に以下のように記載がありました。(PDF のくせに文字情報が埋め込まれてません。検索不可能です。)

他の鉄道会社線区間のみの定期券は発売いたしません。

その他、JR東日本のよくいただくお問い合わせには、定期券利用に関するいろいろな回答がありますので、一度目を通すとよいと思います。

なお、バスの場合は鉄道と異なり、無記名PASMO でも定期券にできます1。ただし、無記名PASMO の場合、当然ながら紛失しても再発行はできません。

Suica の場合は PASMO と異なり、無記名のものでは、バス定期券を付けられません。2

PASMO + クレジットカード分離型(オートチャージ対応)

オートチャージとは、チャージされている金額(PASMO ではSF《ストアードフェア》と呼ばれるよう)が 2000円以下になった場合に、登録のクレジットカードから自動的に 3000円が PASMO に入金されるサービスです。

この PASMO は、実質、記名PASMO のようなのですが、「オートチャージ機能付PASMO」と呼ばれ、特別に申し込む必要があります。駅などで購入した PASMO では、記名PASMO であってもオートチャージは利用できません。(参照:オートチャージサービス :: PASMO

駅等で購入したPASMOではPASMOオートチャージサービスをご利用できません。

PASMO でオートチャージを利用するには、特別に申し込んだ「オートチャージ機能付PASMO」と各交通事業者の発行するクレジットカードかパスタウンカードというクレジットカードの組み合わせで使うことになります。

VIEW Suicaカードとは異なり、クレジットカードと PASMO が1枚に統合されたカードはありません。クレジットカードはクレジットカード、PASMO は PASMO、別々のカードになります。

PASMO オートチャージサービス対応クレジットカード

各社、新規クレジットカードユーザを獲得しようと、特典を付けたり、様々なキャンペーンを行なっています。キャンペーンは期間限定なので、目先のポイントだけに目を奪われないように注意しましょう。

比較すると、多少お得度に違いはありますが、結局は自分がよく利用する交通機関、お店の事業者のカードを利用するのがいいと思います。いくら○○鉄道がお得だからといって、自分の生活圏にその交通機関や系列店がなければ、あまりポイントの貯めようがありません。

個人的には、東京メトロの To Me Card の、東京メトロの地下鉄1回乗車ごとに2ポイント(=2円分)還元なども興味が引かれるのですが、冷静に考えてみれば回数券の方がはるかに割引率が高いのでした。もちろん定期券の購入でポイントが付いたりもするのですが。

Suica + クレジットカード一体型(オートチャージ対応)

クレジットカードに Suica 機能の付いた「ビュー・スイカカード(VIEW Suicaカード)」というのがあります。

PASMO でオートチャージする場合は、PASMO とクレジットカードの一体型はないのですが、Suica なら1枚で済ますことができます。

Suica にオートチャージするには、ビュー・スイカカードが必要

ビュー・スイカカードで利用すると、ポイントが付くなどの特典があるのですが、それはさておき Suica でオートチャージするには、ビュー・スイカカードが必要になります。後述するモバイルSuica はまだ対応していません。

ビュー・スイカカードの選び方

ビューカードのラインナップを見ると何種類もカードがありますが、目的によっては対象のカードは絞られてきます。

定期券機能のあるビュー・スイカカード

定期券機能を使いたい場合、以下のビューカードに限られます。

「ビュー・スイカ」リボカード以外は年会費がかかります。一方、(このカードに限りませんが)リボカードも年会費無料とはいえ、リボ払いの金利を払わなければいけないので、クレジットカードとしては私はあまり好きではありません。

年会費無料のビュー・スイカカード

「ビュー・スイカ」リボカード以外にも年会費無料、実質無料のビューカードがあります。定期券機能が要らない場合はこちらを検討してもよいでしょう。

モバイルSuica

(段々力尽きてきました。より詳しくは後日に追記するかも…)

モバイルSuica は、対応している携帯電話で Suica 機能を使うものです。

ビュー・スイカカードは、利用できるカードが限定されていましたが、モバイルSuicaは日本国内で発行されたクレジットカードだったら、何でも使えます。最近は各社キャンペーンをやっていて、特に Suica と縁がなさそうなカードでも、期間限定で特別にポイントが付くものが少なくないです。

モバイルSuica は定期券にもできるので、先に挙げたような定期券機能に対応したビューカードではない普通のクレジットカードでも、Suica定期券と組み合わせて使えます。

モバイルSuica の年会費

クレジットカードなら何でもモバイルSuica に使えると書きましたが、実は落とし穴 (?) があります。ビューカード以外のクレジットカードで登録する場合、モバイルSuica の年会費が 1000円かかるのです(初年度は無料キャンペーンはやっていますが)。

ビューカードをモバイルSuica に登録すれば、当面は年会費無料です(将来的には確約されていません)。

参考リンク

つぶやき

1ヶ月以上前から書こうと思っていた話題だったのに、なかなか時間が取れずにこんな時期までずれ込んでしまいました。

勘違いしている箇所もあるかもしれないので、コメントをいただけると助かります。

おまけ:Mac で FeliCa

まとめのまとめ(3月14日追記)

imatakeの日記さんに、上記で書いたことが簡潔にまとめられています。こういうのを自分で書きたかったくらいです。

Suica・PASMO、それぞれ何ができて、何ができないか(3月15日追記)

Suica・PASMO のできること、できないことについて、せうさんがまとめてくれました。

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8 Comments

Re: PASMO、Suica の各カードの違いをまとめてみる

PASMOは、改札機のFeliCa R/Wのデータ保存容量の都合で、当面の間、仙台と新潟のSuicaエリアでは使えません。改札機の改修が完了すれば、これらのエリアでもPASMOは使えるようになるはずです。

ICOCAエリアについては、新規ICOCAエリア(岡山・広島地区)は首都圏のSuicaエリア同様のデータ保存容量の大きいFeliCa R/Wを使っていますが、初期ICOCAエリア(関西圏)では旧型でPiTaPaエリア情報でいっぱいいっぱいな状況らしいので、PASMOとの相互利用は、関西圏でのFeliCa R/Wの更新待ちでしょう...

それ以外は全くSuicaと同じように使えるのに、やはり認知度は低いようです... 「首都圏を1枚で」とポスターでもCMでもやっているのに...

ファミリーマートのSuica対応店舗でSuicaを使うと、レシートにはもう「SuicaPASMO残額」と表示されるようになっているのに...

豆知識ですが、ICOCAの改札システムも、PASMOのバス車上システムも、JR東日本の子会社(JR東日本メカトロニクス)の開発です...

From : せう@モバイルSuica使い @ 2007-03-13 10:04:56 編集

Re: PASMO、Suica の各カードの違いをまとめてみる

せうさん、補足ありがとうございました。

ICOCA、PiTaPa 周りのことや、関東以外の Suica エリアのことについては、一緒に書くとややこしくなるので、ほとんど触れませんでした。

面倒なことは考えずに相互利用ができるようになるといいですね。

From : Hiro @ 2007-03-14 02:05:09 編集

Re: PASMO、Suica の各カードの違いをまとめてみる

態々500円はらって再発行してもらうメリットってあるのでしょうか?
無くしたカードが無効化されて残額が引き継がれるってことかしらん..

From : ま @ 2007-03-14 18:30:29 編集

Re: PASMO、Suica の各カードの違いをまとめてみる

500円はらって再発行してもらうメリットってあるのでしょうか

チャージした金額や定期券情報が引き継がれるから再発行の意味があります。そのためにわざわざ個人情報を登録しているのです。再発行や払い戻しの際には、身分証明所が必要になります。

From : Hiro @ 2007-03-14 22:13:08 編集

Re: PASMO、Suica の各カードの違いをまとめてみる

個人的には、Suicaで早くPiTaPaエリアを使いたいです...

去年はSuica定期券でICOCAエリアを利用しまくりだったのですが、PiTaPaエリア(=私鉄)は阪急以外使わず終いだったので...

一応、機能面を簡単にまとめてみました。

参考になれば幸いです...

http://ch00288.kitaguni.tv/e356201.html

From : せう@モバイルSuica使い @ 2007-03-15 00:16:16 編集

Re: PASMO、Suica の各カードの違いをまとめてみる

トラックバックありがとうございました。

ちょっと資料を読み直して訂正しました。

From : せう@モバイルSuica使い @ 2007-03-16 03:13:35 編集

SUICA VIEW カードの年会費について

SUICA VIEW カードの年会費についてコメントです。
年会費は、500円になっていますが、web明細を選択して、
明細書の郵送なしにすると1月あたり20ポイント(50円相当)
がたまります。
1年間で、600円相当のポイントをもらえますので、
会費がポイントで返ってくるというイメージになりますよ。

From : hiro @ 2008-01-11 01:58:28 編集

Re: PASMO、Suica の各カードの違いをまとめてみる

なるほど。

そういう考え方もできるのですね。情報ありがとうございます。

From : Hiro @ 2008-01-14 02:37:22 編集

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