2007/04/10

iPod で動作するウイルス Podloso というひどいデマまがい

一般の iPod ユーザにはまったく関係ない話

Japan.internet.com『iPod』で動作する初のウイルス出現という記事が載りましたが、これはひどい。

嘘とまで言いませんが、アクセスを集めるための釣り記事と言っていい内容です。結論書いておくと、一般の iPod ユーザにはまったく関係のない、影響のない話です。

検討するまでもない記事内容ですが、一応詳しく中身を追ってみます。

またもやコンセプト実証ウイルス

同ウイルスが本格的な害を及ぼさないのは、不幸中の幸いといえる。Podloso は悪質なコードを持ち運ぶわけでもなく、ファイルも破壊しない。ウイルス対策製品ベンダーの Kaspersky Labs は Podloso について、「典型的な概念実証型ウイルスだ。この種のウイルスは、特定のプラットフォームに感染できることを周囲に示すのが目的だ」

過去記事でも取り上げましたが、コンセプト実証型ウイルスは、脆弱性の検証に作ってみたよ、というもので、それ自身の害はほとんどない(Podloso の場合、全くない)ものです。

Linux をインストールした iPod でのみ影響

もう1つ安心材料と言えるのは、Podloso が iPod 本来の OS 上で動作せず、『Linux』をインストールした iPod でのみ動作する点だ

もう1つ安心材料と言えるのはと書いてますが、もう1つとか、安心材料とか言う問題じゃなくて、これが決定的です。

市販されている iPod を普通に Apple の保証するような使い方で使っている限り、何の影響もないのです。

iPod に Linux をインストールして走らせてみようと考えた物好きな人たちが iPodLinux Project というのを立ち上げているのですが、これをわざわざインストールした場合に限った話です。そうすると、通常の iPod としての使用はできなくなりますから、一般ユーザでこれをやっている人は非常に少ないと思います。(参考までに日本語によるインストール記録:OS X ハッキング! 第4世代iPodにLinuxをインストールしてみました

単なる組み込み Linux のマルウェアということでしょう。その Linux の問題であって、iPod の問題ではまったくないでしょう。

Podloso はウイルスですらない

Podloso は自動的に起動せず、ユーザーによる操作が必要になる

これって、ウイルスではなくてトロイの木馬でしょう。広義にマルウェア(悪意を持ったソフトウェア)全般のことをウイルスと呼ぶことはありますが、一般的には自己伝染機能を持ったものを指します。

日本では通商産業省(現経済産業省)が次のような性質をひとつ以上有するものと定義している。

  1. 自己伝染機能 - 自己を複製し他のコンピュータに感染を広げる機能
  2. 潜伏機能 - 特定の条件がそろうまで、活動を待機する機能
  3. 発病機能 - データの破壊、システムを不安定にする、バックドアを作成するなどの機能

まとめ

  1. 普通の iPod には感染しない(というか、iPod Software ではなく、Linux のマルウェア)
  2. コンセプト実証型で実害もない
  3. ウイルスではなくトロイの木馬型のマルウェア

以前に書いた「コンセプト実証ウイルス? OSX.Macarena 情報に踊らされてるっぽい」では過大に危険性が取り上げられているのではないかと指摘しましたが、このウイルス(実際のところウイルスですらない)に至っては、危険性があると取り上げることすら、噴飯もののように思えます。

関連サイト

Japan.internet.com だけかと思ったら、他でも取り上げているところが結構ありますね。他のメディアは、タイトルで Linux だと断っているだけましですが。

ZDNet/CNET の記事のトラックバックの中には、理解せずに踊らされているものもありますね。やれやれ。

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