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2007/05/29
2007/05/15
日経新聞が医学的根拠のないセルライトを紹介
もはや新聞社にリテラシーなんて期待してないが
5月12日の「NIKKEI プラス1」の記事に『「セルライト」ができたら』という痛い記事が載っていました。日経BPが出している「リアルシンプルジャパン」編集部による「くらし知っ得」というコラムです。日経本誌による記事ではないとはいえ内容のチェックは入るでしょうから、この程度の真偽も判断できないか、多少怪しくともお金になるから載せたのでしょうね。
ネットのない時代には検証することができなかったような新聞記事やその他マスメディアの報道内容も、ちょっとの知恵や好奇心があれば、誰もが調べることができるようになったというのは、おもしろいことです。
セルライトとは
件の『「セルライト」ができたら』という記事にはセルライトについて、衣理クリニック表参道院長、片桐衣理という人に聞いたという説明しています。
セルライトとは皮下組織の血行が悪くなった結果、脂肪細胞が老廃物をため込んで大きく成長したもの。触れると他の場所より冷たいのが特徴だ。 一度できてしまうと、ダイエットなどで減らすことは難しく頑固に存在し続ける。
Wikipedia のセルライトの項によると、フランス生まれの言葉で、1960年代末から広まったとあります。
『Cellule(細胞)+ ite(鉱物)』の造語としてフランスで生まれ、1960年末ごろからマスコミに現れるようになった。
ダイエット・スキンケアFAQ「セルライトの正体」というページには、1900年代初頭からあった言葉で、その後 1973年にベストセラーになった本で広まったようなことが書かれています。
セルライトという言葉が使われ始めたのは1900年代の初頭、ヨーロッパのエステティックサロンが女性の太ももやお尻のボコボコした脂肪をこう呼んだことが始まりです。
1973年、ニューヨークのエステティックサロンの経営者である二コール・ロンサードがセルライトについての本を書きベストセラーになりました。その本によるとセルライトとは肝臓や腎臓、腸などから排出された老廃物と水分が皮膚の表面下にある脂肪細胞と結合し、「オレンジピール」と称されるゲル状の物質(セルライト)に膨れ上がると書かれてあります。
日本にセルライトという言葉が上陸したのは、やせるドットコム「セルライトとは何か?」によると、部分痩せできるとして有名になった「スヴェルト」の宣伝用語としてらしいです。
日経産業新聞に「セルライト」とう言葉が紹介されたのは1996年、今から9年前である。日経優秀製品として「ズヴェルト」という商品が最優秀賞を受賞したニュースが初めての紹介である。この化粧品ももちろんデブと戦争の国アメリカからの輸入品である。この化粧品は、「マッサージが不要」というのがキャッチフレーズであったようだ。(1996年2月7日 日経産業新聞)
日本での一般化したのは、捏造問題でつぶれた「あるある大事典」のセルライト関連の番組の影響も大きいと思います。
以上、セルライトという言葉の由来について当たってみましたが、さほど興味がないので詳しくは調べてません。参考程度に
セルライトはマーケティング用語
いずれにせよ、ちょっと調べれば、否、調べなくても考えれば怪しいと感じるかもしれませんが、セルライトは医学的根拠のある言葉ではなくて、マーケティング用語に過ぎません。マーケティング用語、つまり、物やサービスを売るために作られた言葉ということです。
マーケティング用語と言えば、さしたる科学根拠のない「マイナスイオン」や、雑誌ソトコト関係者が商標登録していた「ロハス (LOHAS)」なんかを思い出します。本題からそれますので、興味のある方は検索してみて下さい。
セルライトなんてものは存在しない
あちこちに根拠がない言葉だと言う情報が書かれていますが、いくつか取り上げてみましょう。
まずは、ウィキペディアから。
健康食品やエステの世界では、セルライトを肌のでこぼこを作る原因物質として取り扱うことが多いが、医学的根拠はない。
医学的には、セルライトが原因とされる肌のでこぼこは、皮下脂肪が大量にたまった状態に過ぎない。セルライトは医学的用語とは認められていない。
次に先ほどもちょっと紹介したダイエット・スキンケアFAQ「セルライトの正体」。
セルライトという言葉は医学用語にはありません。しかし、セルライトは普通の脂肪とは違うので特別なお手入れが必要であるという理論を作らなければならない人達がいました。エステティックサロンの経営者やそれらに関連した商品を作っている化粧品会社の人たちです。
しかし、肝臓や腎臓などから排出された老廃物が脂肪細胞と結合するという医学的根拠は全くありません。そのような老廃物が体にたまっているのに治療しないとすれば、重い病気にかかり死んでしまうでしょう。
さらに、研究でもセルライトは特別な脂肪ではないということが確認されています。太ももなどセルライトが発生するとされる部分の脂肪とその他の場所の脂肪では生化学構造の違いはありません。セルライトと呼ぼうが呼ぶまいが、それはただの古い脂肪です。
「あるある掲示板」には、こんなコメントもありました。
ちなみに私、医者やっているんですけれど、セルライトなんて見たことないんです。
循環傷害を起こしている組織が壊死しない理由も教えてください。
循環傷害があれば酸欠になりますから、脂肪が溜まるのではなくて組織が壊死するはずです。
SAFETY JAPAN の『また「あるある大事典」にダマされた。』の書評にも。SAFETY JAPAN は、同じ日経BPだというところが皮肉でしょうか。
「肥満には体内の脂肪球に古い脂肪分がたまって固まったセルライトが関係する」という俗説がある。「あるある」もまた、それに乗って「肥満の原因であるセルライトをなくすにはマッサージで脂肪球から古い脂肪を押し出すと良い」と放送した。
ところが、実際には古い脂肪がたまったセルライトなどというものは存在しない。そもそも、人間の細胞はマッサージ程度で中から脂肪が出てくるようにはできていない。
「もし外から腕を軽くつまんだぐらいで細胞の中の成分が出てくるとしたら、体重がもろにかかっている脚の細胞などからは、次々と細胞内の成分がしみ出してくることでしょう。そんなことになったら、人間は動き回るどころか、自重を支えることさえ不可能になってしまいます。」
でこぼこしている脂肪はもちろんありますが、それは名前を付けて他の脂肪と区別するようなものではないし、セルライトは冷たいというのも、単に脂肪の部分は元々血行も少ないし、筋肉に比べ熱を生産していないからであって、脂肪一般の話ですね。
というわけで、いんちき臭い話がまかり通っているわけです。セルライトもマイナスイオンや波動などとともに似非科学用語とみなして良いでしょう。出てきた瞬間に怪しいと思って疑ってかかる必要のある類いの言葉です。
ついでにロハスとマイナスイオン関連リンク
上で「興味のある方は検索してみて下さい」と書きましたが、今回の記事を書くに当たって参考にしたサイトをついでに紹介しておきます。
こんな記事書くと、まったく逆の意図の広告が表示されてしまうんだろうなぁ。
2007/02/20
乳脂肪分が高いのがおいしい牛乳という幻想?
一般に牛乳は乳脂肪分が高い方が高級というイメージがあって、実際に値段も高くなっています。乳脂肪分が高い方がコクがあっておいしいともよく言われてます。
明治北海道の贅沢しぼりミルクは乳脂肪分3%
ところが先日、何の気なしに買った明治乳業の北海道の贅沢しぼりミルクが、おいしかったのです。乳脂肪分は普通に売られている牛乳よりずっと少ない 3%しかありません。
この牛乳は日垣隆氏のブログでも、日本で一番おいしい牛乳として取り上げられていました。
北海道の贅沢しぼりミルクがおいしく感じる理由は?
この贅沢しぼりミルク、普通の牛乳かと思っていたのですが、よくパッケージを見ると、成分調整乳と書かれていることに気がつきました。一般的な牛乳は大概成分無調整です。
明治乳業の説明によると、生乳を濃縮した牛乳ということのようです。何かを添加しているわけではありません。
フィルターに通すことによって水分やナトリウムの一部を除去し、カルシウムやたんぱく質等の優位成分のみを濃縮しています。
生乳以外に一切何も使用していません。牛乳の成分を選択的に濃縮しているので、普通牛乳に比べてカルシウムが1.4倍、たんぱく質が1.3倍含まれています。
甘みを普通の牛乳より感じるのは、水分が除去された分、乳糖が濃くなるからではと思ったのですが、その旨の説明もありました。
乳脂肪分は3.0%に調整し、普通牛乳よりも控えめなのに、濃厚なコクと自然な甘味を味わうことができます。
それは、乳脂肪分だけで牛乳のコクや甘味を感じるのではなく、濃縮された成分の乳糖などにより、牛乳の自然な甘味や濃厚なコクが感じられるからです。
明治乳業のプレスリリースに、もう少し詳しい説明がありました。
かつて三八牛乳というものがあった
ところで安心!?食べ物情報によると、その昔、この贅沢しぼりミルクと同じ乳脂肪分3%、無脂乳固形分8%という比率の、通称三八牛乳というものがよく売られていたそうです。
牛乳の成分表示を見ると、「乳脂肪分」と「無脂乳固形分」という項目があります。牛乳の規格を定めた「乳等省令」では、乳脂肪分3%以上、無脂乳固形分8%以上、であることが求められています。
実際に牛が出す乳はもう少し成分が濃いのですが、まあ最低基準として決められたものです。20年前には、夏場はこの規格に達しない牛乳も生産されていましたが、だんだんと生産者の淘汰が進んで、そのような生産者はなくなってきています。
ところが、この基準を悪用して、乳脂肪分3%無脂乳固形分8%という基準ぎりぎりの商品が売られていました。これが悪名高い雪印の「サンパチ牛乳」です。
検索してみると、昭和49年の国会の農林水産委員会の中でも三八牛乳のことが取り上げられていました。バターと脱脂粉乳で味を調整した加工乳ということらしいです。バター,脱脂粉乳、水を使った、濃縮還元ジュースの牛乳版みたいなものですね。(ちなみに濃縮還元のジュースは、味を調整するため、必ず香料が入っています。)
贅沢しぼりミルクの原料は生乳のみで、バターや脱脂粉乳、その他の添加物は使っていない成分調整乳で、加工乳であった過去の三八牛乳とは似て非なるものと思いますが、そんな歴史もあったのですね。価格面でも、普通の牛乳より廉価であった三八牛乳に対し、贅沢しぼりミルクは味をよくするためのいろいろな技術を使っているためか 1000ml 270円と高めの価格設定です。
ホモジナイズドしていると薄く感じる
市販の牛乳のほどんどはホモジナイズ(均質化)されていますが、ノンホモ、つまりホモジナイズされていない牛乳はおいしいという話があります。これは脂肪球の大きさが関係あるようです。
明治ミルク宅配のQ&Aより:
近の牛乳は、昔と比べて味が薄く感じるという人がいますが、そんなことは一切ありません。法律で水や添加物を加えることを一切禁じています。
薄く感じる訳は、牛乳の中にある脂肪玉(通常1〜12ミクロン)のためです。脂肪玉が大きければ大きいほど牛乳が濃く感じ、また上に脂肪分が浮いてくるので体内に吸収する率も悪くなります。
人々が高乳脂肪のものを求めるのは、市販の牛乳のほとんどがホモジナイズされているせいもあるのでしょうね。
乳脂肪分3.5%以上は異常?
中洞牧場というところからの情報なのですが、自然放牧していると乳脂肪分は 3.5%にならないという話がありました。
自然に放牧された牛乳の乳脂肪分は3.5%にならないということを御存知でしょうか?
日本の乳業では、この乳脂肪分に関する大きな誤解があります。乳脂肪は3.5以上という基準があり、乳脂肪が多ければ多いほどいいような風潮がありますが、実は自然放牧しているとこの乳脂肪分はできません。自然放牧している牛の乳脂肪分はせいぜい3.2%ほど3.5%以上の乳脂肪分を持たせるには、狭い牛舎に牛を固定し高栄養な飼料を食べさせることで、生産されているものです。最近でこそ牛舎の中を動けるようにした、形態も出てきているようですが、それでも、単に、牛舎の中を歩き回れるという程度に過ぎない話です。
日本の牛乳はデンマークの低脂肪乳よりまずく感じるという話もありました。
日本の牛乳は、デンマークのホールミルクよりもローファットミルクよりもまずい。おいしさは、脂肪率の高低ではないのだと思います。
情報源は特に示されていませんが、デンマークでは、日本と違い大豆やトウモロコシのような飼料より、畑で育てた小麦や大麦を牛に食べさせており、多くが放し飼いされていることが牛乳の味に影響があるのではないかという旨のことも書かれています。
少し古い情報になりますが岡山畜産便り 昭和29年2月や、他国ですがスウェーデンの事情を見ると、少なくとも冬は舎飼い、夏は放牧のようです。日本は常に舎飼いがほとんど。
金で取引される乳脂肪分
国会でのやり取りを読んでいたら、以前は乳脂肪分の基準は 3.2% だったという話がありました。
たしか昭和六十二年までは、牛乳、生乳の取引の基準ですね、乳脂肪でもって三・二%だったと思うんですよ。それが現在三・五ということになっておるわけですね。これは大変な品質の向上といえば向上なんですよね。
そして、厚生労働省のサイトにある薬事・食品衛生審議会で話された乳及び乳製品の規格基準の改正についてという議事録からは、0.1以下の乳脂肪率のパーセンテージを巡って、お金のやり取りがされている様子が垣間見えます。
実態的に乳脂肪分コンマ1%についてはいくらとかいう取引もなされていると聞いております
乳脂肪率偏重の影響が出ているように思えます。
こんなに乳脂肪率がもてはやされるようになったのは、上で挙げたホモジナイズの影響もあるかもしれませんが、そもそも畜養マグロのトロをありがたがるような舌では、単純乳脂肪分が多いものをありがたがるのはしかたないのかもしれません。
- 当ブログ関連記事:トロの比率9割のマグロ
あ、そうそう。よくコーヒーに付いてくるコーヒーフレッシュというやつ、あれの主原料は牛乳ではなくて、ただの油なのですよね。よくて脱脂粉乳が入っている程度で、乳製品が一切入っていないものも多いです。白い色はミルクではなく、油が乳化しているだけ。人間の舌など元々そんなものなのでしょうか。味覚にうるさすぎても、環境に適応できないでしょうから、地球上に人間が繁栄しているのは、人の味覚の幅が広いからとも考えられます。
また、世の中、健康に気をつかって、ダイエットやカロリーを気にする人が多いようなのに、トロや霜降り肉、乳脂肪たっぷりのものが好まれるのは、飢えを凌ぐために脂肪を蓄えることが本能だった時代のなごりなのなのかもしれませんね。
トラックバックをいただいたので、追記をしました。
外国の低脂肪乳(追記)
トラックバックをいただいた on our way home さんの印象では、デンマークのローファットミルクが日本の牛乳より上という印象はなかったそうです。
「デンマークのローファットミルクは日本のそれよりもおいしい、という話がある」と紹介されていたが、僕が飲んだときはどちらも同じような味わいに感じた。むしろデンマークのもののほうがより水っぽい印象があったのだが、これはもう一度試してみたくなるなあ。
私個人の経験としては、ポーランドでローファットミルクを好んで飲んでいたことがあるのですが、くどくないのでゴクゴク飲めるという印象でした。水っぽいと言えばそうなのかも?たくさん飲んでいたくらいなので、まずかったという印象は全然ありませんが。
日本ではよく、高い乳脂肪率の牛乳のおいしさを「コクがある」と表現します。この辺りはおいしさの基準をどこに置くのかにもよるのだと思います。今回の記事を書いて、私も改めて外国のおいしいとされる低脂肪乳を飲んでみたいと思いました。
おまけ:牛乳は飲んではいけないと主張する人々
例えば「牛乳は牛の赤ちゃんが飲むもので、人間が飲むものでない」というような主張がありますが、Wikipedia の牛乳の項に、このような理論が通るのなら人間は人肉か母乳以外摂取できなくなる
という秀逸な反論があり、思わず笑ってしまいました。
その他にも、牛乳へのトンデモ系の非難に対する反論が簡単にまとめらているので、興味のある方は一度目を通してみてください。
牛乳は体が悪いという意見は、以前からマクロビオテックや一部の自然食愛好家が主張していたものですが、新谷弘実の「病気にならない生き方」という本が割に売れて一層広まったような印象があります。新谷弘実氏は一応医師らしいのですが、健康食品販売を手がけてるし、書かれている内容もちょっとなぁ、という感じです。何、ミラクル・エンザイムって。酵素は酵素でしょう。リテラシーのある人ならわかると思いますが、新谷弘実氏はトンデモだと思います。牛乳有害説がいかにいい加減なものかについては、以下を読んでみましょう。
私も闇雲に牛乳を礼賛したり、学校給食で牛乳を毎日飲む必要はないのではと思いますが(敗戦後、パン食が導入されたが故の結果と思います)、牛乳は毒だと言わんばかりの主張も、偏った意見だと思います。
3月29日追記:上記の新谷氏に対し、医師や栄養学の専門家らでつくる牛乳乳製品健康科学会議が質問状を送ったそうです。
J-MILK 日本酪農乳業協会のサイトにも、「牛乳についてのとんでもない話」というQ&Aができてました。
牛乳のおいしさはグルタミン酸含有量が多いためもあるらしい(3月10日追記)
2007年3月10日の日経新聞 NIKKEI プラス1 18面「医食同源」という記事には
グルタミン酸は、うま味成分としてよく知られているが、 牛乳には、昆布に次いでグルタミン酸が多く含まれている。
との記述がありました。
牛乳のグルタミン酸含有量はどのくらいなのだろうと思って調べてみたのですが、「科学データ集と食品の成分データ表 & 十五社神社と神様」によると、牛乳の場合、可食部100g当たり 560mg だそうです。対して昆布は 1700mg。水分がたくさん含まれている牛乳と、乾燥した昆布を単純に比較しても、結局グルタミン酸が多いのか少ないのかさっぱりわかりませんね。
他のものも調べてみましたが、豆乳が 680mg、こい口しょう油 1500mg、納豆は 3200mg!納豆すごい。簡単に比較できるのは豆乳くらいですが、若干牛乳より豆乳の方がグルタミン酸が多いとはわかりますが、他の食品との比較はやはり難しいですね。
2006/10/25
日本語のママ・パパの起源は意外に古い
ママ・パパはいつから使われているのか
私はお母さん・お父さんで育った口なので、ママ・パパという呼び方はちょっと肌に合いません。しかし、ママ・パパはてっきり戦後に生まれた呼び方かと思っていたのですが、意外に昔からある言葉のようです。
日経新聞の10月8日の記事に戦前の婦人雑誌に触れているものがあるのですが、その中で以下のような記述があったのです。
産児制限も昭和十年ぐらいになると常識になっていて、 コンドームとかペッサリーの広告が掲載されている。 脱毛や整形手術の広告も多い。外国崇拝で日本人のくせに、 「ママ」とか「パパ」とか両親を呼ぶのはけしからん、と 当時の文部大臣が発言した、ともコラムに書いてある
国立国会図書館で調べれば裏は取れそうですが、雑誌を特定するのが大変そうです。
でも検索してみたら、パパについてこんな記述がありました。元は朝日新聞の2004年10月15日の記事のようです。
明治の前半まで東京では「おとっさん」が一般的だった。
明治36(1903)年に国定教科書が「おとうさん」を載せたが、同じころ、洋行帰りの華族らから「パパ」がはやりだした。
大正に入ると高浜虚子が、パパは「吹けば飛びそうでいやだ」と難じた。
昭和の初めには「その呼称は父母への尊敬を失わせる」とパパ禁止を訴えた文相がいた。
終戦後はいっそう普及。今や皇太子ご一家も「パパ」派のようである。
同じブログにパパ・ママ両方についての言及もありました。これも朝日新聞2006年2月4日の記事が元です。
明治後半には洋行帰りの家庭で使われ、1917(大正6)年、高浜虚子の「パパママ反対論」に対し、与謝野晶子が「日本は文字も法律も外国から移植した。ことさら忌む理由なし」と反論、ちょっとした論争になった。
34(昭和9)年には海軍大将・岡田啓介内閣の松田源治文相が就任直後、「近頃、パパだの、ママだのがはやっているが、日本古来の孝道がすたれる。直ちに駆逐せよ」と、「日本精神」をあおった。
どうやら古くて新しい問題のようですね。
母親=ママという呼び名は不自然ではない
パパはよくわかりませんが、母親のことをママと呼ぶのは自然だと思われます。理科雑学アドベンチャーの『お母さんは「m」で始まる』の項に各国語での母親の呼び方が少しまとめられています。実際「ま」という音は発音しやすいように思います。日本語でも、少なくともお母さんの意味でなくとも、「まんま」としてご飯、赤ちゃんの場合はより直接的にお母さんの乳を差すものとしては古くから使われていそうです。
そういえば、岡山の「ままかり」は「まま(飯)を借りる」ほどおいしいというのが語源という話で、「ご飯」=「まま」ですね。
ママ・パパ登場以前は?
上に引用した中には、明治の前半まで東京では「おとっさん」が一般的
との記述が見えます。
大阪あたりだと今でも「おかん」「おとん」?
沖縄で祖父母を「おじい」「おばあ」と呼ぶのは割と知られていると思いますが、沖縄に移住して子どもを産んだ友達に父母の呼び方を聞いたところ、「こっちは結構ファーストネームの呼び捨てが普通」と言っていたので意外でした。
江戸時代の関東での呼び方を想像してみると、「おとう」「おかあ」あたりなのでしょうか。そこまで口が回らない赤ちゃんの場合は「かー」「とー」と言っていそうです。「と」はわからないですが、「か」はまあまあ発音しやすそうです。(私は専門家でもなんでもないので、あくまで印象ですが)
結局はっきりした答えはわからなかったのですが、はてなあたりで聞けば答えは出るのかな?
正しい言葉?

金田一秀穂さんがテレビで、例えば女子高生が使うような変な言葉も、結局それまでの言葉で表現できないものが生まれて来ているから、そのニュアンスを伝えるために新しく言葉が生み出されているわけで、過度に「正しさ」にこだわることはないというようなことを言っていたと記憶しています。
検索してみたところ、以下の「心地よい日本語」がそれに近い内容でしょうか。
最近、このクイズのような間違って理解している日本語を指して、“日本語の乱れ”がよく問題視されます。
しかし 、金田一先生は“心地よい日本語”とは、“乱れている”“乱れていない”という事よりも、気持ちや意味が通じることが重要であり、気持ちが通じなければ、そもそも相手は心地よいとは感じないのだと仰います。
また、言葉とはその性質上、時代に即して常に変化していくものです。夏目漱石の文体言語こそが正しい日本語だと言う時代があれば、樋口一葉が正しい時代、はたまた紀貫之が正しい時代もあります。時代に即して変化していく日本語に“正しさ”を求めるのではなく、やはり言葉に対して、“通じるという心地よさ”を感じるかどうか、ということが重要であると金田一先生は主張されます。
ママ・パパの由来について書いてきましたが、語源などを追求して「正しさ」にこだわるのは本来の言葉の役割を無視していることで、正しく気持ちが伝わる言葉ならそれがいいのかもしれませんね。
平野啓一郎公式ブログ - 「普通においしい」(12月4日追記)
平野啓一郎公式ブログ の「普通においしい」 という記事でも、言葉というのは生きているものだし、「日本語の乱れ」と言われるような話が好きではないということが語られていました。
言葉というのは、生きているわけですから、現代人は現代人なりの必然によって、好きなように工夫して言葉を遣えばいいわけです。無理があればすぐに廃れるでしょうし、しっくり来れば定着するでしょう。そういう変化をまったく認めずに、「普通においしい」という言葉の意味さえ分からないと言ってる人は、本人はそれで「美しい日本語」を守ってるような気になってるんでしょうけど、言葉に対して、無意味に硬直した態度に陥っているとしか思えません。
上記記事で取り上げられている「チョベリバ」にしろ、日本語として定着しなかったのは確かですが、言葉が使われていたその時その場には、既存の言葉では伝えられない、その言葉でしか伝えられない何かがあったから使われていたのでしょう。言葉は第一義にはコミュニケーションに目的があるのでしょうから、そこで「正しさ」を持ち上げて批判してみても意味がないと言えるかもしれません。もちろん単におかしい場合もあると思いますが。
それと「チョベリバ」に関しては、たまたまマスコミに取り上げられて広まっただけで、考えてみれば局所的にしか使われない言葉は、職場でも会社でも仲間内でも必ずありますよね。




Mac の梱包材は発泡スチロール
当ブログでもご紹介した、Start Mac体験モニターの当選者の元に Mac が届き、皆さん、続々とレポートを書いています。
そんな中で、MacBook の梱包材について、せうさんが、わがMacBook紹介という記事の中でこんなことを書いてらっしゃいました。
Apple は先日、‘A Greener Apple’ という発表をし、環境問題への取り組みを積極的に行ってると述べていました。
そんなことを言ってるくらいだから、確かに環境に配慮して欲しいよね、と初めは思ったのですが、ふと、古紙 100% の再生紙は環境に優しくないという先日のニュースを思い出しました。環境問題はイメージ先行の部分も大きく、実際にはイメージと実態が異なることがよくあります。
そこで、発泡スチロールは環境によくないようなイメージがあるけど、実際にはどうなんだろうと思って調べてみました。
実はかえって環境負荷の高い古紙 100%リサイクル再生紙
単純にリサイクルすれば環境に良さそうと考えるのはおめでたい話で、実際には総合的なコストを考えないと環境問題は語れないというのは、市民のための環境学ガイドあたりを読んでいる人は知っていることでしょう。ライフサイクルコスト (LCC) とか、ライフサイクルアセスメント (LCA) とかいう考え方です。
古紙 100% 再生紙についても以前からそのような話がありましたが、そうした認識が、2007年4月下旬の日本製紙の発表をきっかけに急に広まった気がします。
ちょっと誤解している人がいるかもしれないので、補足しておきますが、古紙をリサイクルすることが即、環境に悪い、という単純な話ではないことです。
実際に、日本製紙の発表でも、という話であって、古紙の使用をやめるわけではありません。発表の中で以下のように述べられています。
このあたりの話は、森林資源や化石燃料資源の重視のし方、価格の問題、いろいろあって、本題からどんどんそれてしまうので、ここまでにしておきます。ちなみに「日本製紙 再生紙」あたりでネット検索すると、1998年のニュースリリースでこんなのが先に出てきました…。
この時点では本当に優しかったのでしょうか、それともイメージ先行だったのでしょうか…。
発泡スチロールの環境負荷は
検索すると、発泡スチロールの旭化成株式会社の発泡スチロールQ&Aあたりが出てきますが、元々は発泡スチロール再資源化協会のQ&Aに載っているもののようなので、そちらを参照します。なお、旭化成といっても、イヒ!の旭化成とは違う会社のようです。
発泡スチロール再資源化協会のサイトでは、環境負荷について以下のような説明があります。
単位重量当たりでは段ボールより負荷が大きいのですが、発泡スチロールは軽くて嵩が大きくできるため、実際に使う原料は少なくて済むことの効果が大きいようです。
ところで、発泡スチロール (EPS) の LCA に言及しているところを探してみると、この 1992年のドイツ学際研究共同体の研究を引いてきているところが大多数です。大抵が業界団体か発泡スチロール・発泡スチレンのメーカーです。
ちょっと都合のいい解釈や偏りもあるのではないかと思って他の資料も探していたところ、包装用緩衝材の LCA 研究報告 (PDF) というものがありました。段ボールと発泡スチロールの比較がなされています。(PDF を開くのが嫌な方は Google による HTML 変換バージョンをどうぞ。ただし、図表が若干抜け落ちています。)
平成15年 (2003年) の報告で、ビジネス機械・情報システム産業協会という著名な電機会社等を含む企業からなる団体の報告です。発泡スチロールの業界による説明よりは中立性がありそうです。
報告を読み込んでみたのですが、私の結論を先に書いてしまうと、やはり単純に段ボールが優位、発泡スチロールが優位とは言えないものになりました。同じ重量では段ボールに有利な結果が出ているのですが、比較して意味があるのは、製品1つあたりに使われる量になるので、同じ重量のことは考えてもしかたありません。
製品そのものの重量が重くなってくるにつれて、梱包材の段ボール/発泡スチロールの重量比は増加傾向、つまり重い製品を支えるために段ボールの方がよりしっかり重い梱包材が必要になる傾向があるため、発泡スチロールに優位性が出てくるようです。
包装用緩衝材の LCA 研究報告の細かい検討
この報告には、なぜか 2つの結論が載せられています。
第1章では、重量 23kg のレーザプリンタの梱包材をサンプルとして計算され、段ボールの方が環境負荷が少ないという結論になっています。
それに対し、第2章では、様々な製品の梱包材を検討し、エネルギー消費量では、製品重量 2〜5kg を越える場合は発泡スチロールが優位という結論になっています。
ただし、目次では第2章は参考資料扱いになっています。第2章は前述の発泡スチロール再資源化協会の技術委員会での調査をベースにしているそうで、そのために中立性を若干欠くため、参考資料扱いになっているのではないかと思われます。
第1章と第2章で異なる結論を出しているようにも思われますが、資料をよく読み込んでみると、いずれにせよ、梱包材の質量次第で有利不利が決まることがわかります。
包装用緩衝材の LCA 研究報告第1章の検討
第1章8節のまとめの考察には以下のようにあります。(強調部はこちらで付加)
この結論部でちょっと意図的なものがあるのかもしれないと感じてしまうのは、段ボールの優位性がより目立つ排出 CO2 にしか言及していないことです。データ自体には投入熱量(消費エネルギー)の数字もあって、そちらの比較では製品1台当たりで約 1/2 の減少となります。また、単位質量当たりの比較をわざわざ取り上げていますが、実際に使われる量が問題なのであって、比較として取り上げる意味があるのかという点にも疑問を感じます。
第1章でサンプルとなっている梱包材の質量は、発泡スチロールが 337g、段ボールが 1220g で、その重量比は 3.62倍となっています。第2章のデータでは、様々な製品の梱包材の重量比が示されていますが、最大のテレビでは 15倍程度となっており、その場合は、排出 CO2 の点からも、消費エネルギーの点からも発泡スチロールが有利です。
計算してみたところ、第1章のデータからは、消費エネルギーで段ボール/発泡スチロール重量比が約7.6倍、排出 CO2 で約10.8倍を超えると、発泡スチロールが有利になってきます。
第1章には、発泡スチロールの半分が再生発泡スチロールだった場合の排出 CO2 の数字もあり、それによると、重量比約7.7倍が境目になります。消費エネルギーについてはデータがないのでわかりませんが、CO2 と同程度の比率でエネルギーが減らせると仮定すると、重量比約5.4倍が境目ということになります。
ここで使われているサンプルは、引用箇所強調部にあるようにため、重量比は 3.62倍となっていますが、発泡スチロール梱包材の軽量化がはかれれば、段ボールより有利になる場合も出てくるものと考えられます。
包装用緩衝材の LCA 研究報告第2章の検討
次に、2章4節「結言」部分を引用してみます。(強調部はこちらで付加)
ここでは、内容物の重量 2〜5kg というのが境目となっています。とりあえずこの結論に従えば、今回の例に挙がった MacBook の本体重量を考えると、どちらとも言えない感じですね。iMac や Mac Pro になると、発泡スチロールの方がよいということになります。
内容物の重量 2〜5kgという結論がどこから出てきたかというと、エネルギー消費量についての段ボール/発泡スチロール重量比で、約5.1倍が境目になっていることからのようです。種々の製品のデータでは、図4のグラフから重量 2〜5kg のものが重量比 5倍前後という算出がされ、製品重量が増えるに連れ、重量比は大きくなる傾向があることが示されています。
なお、第2章ではデータには存在する CO2 発生量に言及されておらず、第1章とは逆の意図性を感じます。CO2 に着目すると、重量比約11.1倍が分岐点です。
こうして見ると、第1章も第2章も CO2 についての結論はほとんど同じで、消費エネルギーについては 7.6 と 5.1 と若干数値が異なりますが、この辺りの見積もりは、各過程における算出値や、どこまでが計算に含まれるのかにもよるので、多少のぶれが出てくるのはしかたないものと思われます。
これまでに梱包材の重量比が効いてくると述べていますが、資料中の表2-3-3の値を製品重量の重い順に並び替えて、参考までに挙げておきます。
包装用緩衝材の LCA 研究報告の検討まとめ
既に結論は述べましたが、梱包材としては段ボール、発泡スチロールのどちらかが絶対的に優位とは言えないのが現状だと思います。簡単にどちらが優位との結論が出せないからこそ、超企業の技術委員会の場で「包装用緩衝材の LCA 研究報告」をまとめる必要もあったのでしょう。
梱包材の重量比だけでなく、今後の技術の進歩や情勢の変化によって見積もり変わってくる要素も少なくないでしょう。現時点、わかる範囲のデータではこういうことが言える、という程度なのではないでしょうか。例えば、この報告のデータには使用後のコストは考慮されていないようですし、CO2・投入エネルギー以外の要素については考慮されていません。資料だけからはよくわからない点としては、段ボールの再生紙利用率や、再生紙を使っていた場合にどこまでそのコストが算入されているのか等もあります。将来的な要素で言えば、現時点では発泡スチロールはダンボールに比べればリサイクル率が劣りますが、リサイクル率が改善されれば、発泡スチロールの方が有利になってくるということもあるでしょう。
段ボール材の優位性が必ずしもあるとは限らないのに、発泡スチロールを廃止したメーカーが少なからず存在するのは、実際の環境負荷というよりも、環境ホルモンなどの汚名も着せられ印象の悪かった発泡スチロールをやめることによる良いイメージ作りの側面が大きかったのではないかと思います。
しかし、この話、もっと簡単に結論が出せるかと思ったのですが、そうは問屋が卸しませんでした。環境問題のようないろいろな要素が絡んでくる問題は、簡単には答えが出せませんね。
一応ここまで書いてきましたが、私はこの問題の専門家でもなんでもないので、誤読している点や間違っている情報等あるようでしたら、ぜひお知らせください。
おまけ:発泡スチロールにまつわる誤解?(2007年5月30日追記)
発泡スチロールに悪者のイメージが付きまとっていたのは、燃やすと有毒ガスが出たり、ダイオキシンが発生したりするのではないか、とか、環境ホルモンと呼ばれた内分泌系撹乱物質を溶出させるのではないか、という疑惑によるものが大きいのではないかと思います。
ダイオキシンは発生するのか
発泡スチロールは、ポリスチレンをブタン等の炭化水素ガスで発泡させたものですが、成分に塩素は含まれておらず、炭素と水素で構成されているということです。ブタンも同様です。炭素と水素は燃やせば、それぞれ(二)酸化炭素と水になるだけです。
スチレンの化学式は C6H5C2H、明らかに炭素と水素しか含まれていません。
むしろ、紙は燃やせばダイオキシンを出すことが多いです(ここではダイオキシンの毒性はさておき)。紙を白くするための塩素系の漂白剤の残留が原因ではないかという話です。ちなみにタバコの煙には由来不明ですがダイオキシンが含まれているそうです1。
ただ、ポリスチレンが炭素と水素しか含まないから問題ないじゃないか、というと、そう簡単な話でもなさそうです。ポリスチレンのようなベンゼン環を含むものと HCl を燃やしたところダイオキシンが大量に発生したという話があります2。これが正しいとすると、他のゴミと燃やすことによって、ダイオキシンを発生させる可能性があることになります。
一方、発泡スチロール再資源化協会の Q&A3 によると、ダイオキシンは発生するものの、非常に少ない、となっています。
というわけで、発泡スチロールは、塩素を含まないので問題ないかと思っていたのですが、こちらもそう単純な話でもなく、他の塩素を含む物質と燃やされることで、多かれ少なかれダイオキシンを発生させることにはなりそうです。
ただ、近年の焼却炉は性能が上がってダイオキシン類を出さなくなっており、さらにダイオキシン類対策特別措置法によって、排出基準が非常に厳しくなったので4、問題となることは少なそうです。ダイオキシン類対策特別措置法の概要については高知県のサイトが比較的まとまっていました。
環境ホルモン?
「環境ホルモン」という言葉は一昔前に一世を風靡しましたが、それから10年以上経った現在でもよくわからない部分が多く、過剰に危険性があおられていた面も少なくないと思われます。もちろん、研究の結果、実際に使用中止に至った物質ももちろんありますが、環境ホルモンという言葉で一括りにして論じられるような問題ではないのでしょう。
発泡スチロールにおいて環境ホルモンの嫌疑がかけられていたスチレンダイマーおよびトリマーについては、研究の結果、環境省の「「内分泌攪乱作用を有すると疑われる化学物質」から外されているとのことです。
ダイオキシンサマリー(発生量編) 市民のための環境学ガイド ↩
久しぶりのダイオキシン 市民のための環境学ガイド ↩
発泡スチロール Q&A〈環境編〉発泡スチロールを燃やすとダイオキシンが発生しますか? ↩
環境省 - ダイオキシン類に係る指定物質排出施設及び指定物質抑制基準の対応 ↩